人気SaaSのマーケターたちの仕事の進め方〜Geeks Who Drink -SaaS Marketing Edition- レポート

3月20日に開催された、株式会社ヌーラボ主催の勉強会Geeks Who Drink in Tokyo SaaS Marketing Edition にブログレポーター枠で参加してきましたので、イベントの模様を簡単にレポートしたいと思います。

Geeks Who Drinkとは?

Geeks Who Drinkは株式会社ヌーラボ主催の人気勉強会シリーズ。ソフトウェア技術やWebサービスのデザインについて、飲みながら語り合うミートアップイベントです。 今回は、Techな内容からは離れて、ヌーラボをはじめとしたB2B SaaS企業のマーケティング担当者を集め、最近の取り組みや仕事の進め方についてシェアし合うパネルディスカッションとなりました。テーマをきっちり決めて答えを探すというより、それぞれの会社の担当者が、今やっていることや考えていることについて、もうやんカレーを食べながらざっくばらんに語るというスタイルでした。今回は、いくつかのトピックをピックアップしてレポートにまとめたいと思います。

登壇者

(左から)
株式会社SmartHR VP of Marketing 岡本剛典氏
ウォンテッドリー株式会社 マーケティング担当 山田 賢輔氏
株式会社ヌーラボ マーケティングチーム 佐久間仁志氏

SaaSビジネスは、製品のフェーズや特性によって、仕事の進め方に違いが出てきます。そこで、まずは今回登壇した三社の主要製品の、ビジネス面の特徴を見てみましょう。

 

Backlog SmartHR Wantedly Visit/Admin
タスク管理ツール 労務管理ツール 採用支援ツール
「営業」がいない企業
・ サイト訪問〜無料トライアルがリード取得
営業重視
・ 無料トライアルはない
・ イベント、Webなどでリードを取得し、営業に渡す
営業重視
・ 無料トライアルあり
・ イベントなどもリード取得に併用
長く使われるツールなので、チャーンレートは比較的低い チャーンレートほぼ0 採用施策が一段落したら、一時的に解約も発生
ただし採用が活発したら復活する事が多い

業務の進め方

上記を踏まえた上で、まずはそれぞれの会社・製品の仕事の進め方を見てみましょう。

ヌーラボ

体制 認知〜利用開始〜継続利用まで、一貫してマーケティングチームで担当しています。KPIごとに担当者を置き、順次増強していく方針です。当初は3名※体制でしたが、人数が急激に増えています。現在、新たに有料転換率に責任を負う担当者として、マーケティングチーム内にインサイドセールスを新設しようとしています。
重視しているKPI 個別の法人営業は行っていないため、無料トライアルが重要なリードです。そのため、現状では無料トライアル数の増加を重視しています。
タスク管理 短期タスクと長期タスクに分けて、Backlogで管理をしています。短期タスクの例として、ページのUIのテストを週単位で回しています。キャンペーンの企画、UXの導線の変更などは、長期タスクとしてもう少し長いスパンで管理しています。
使っているツール Google Analytics等からの情報をCSVで出力し、Excelで分析しています。バックオフィスチームと連携して、専用の分析ツールの開発も進めています。

※実は鍋島はそのうちの1名でした(2017〜2018)


(図)Backlogの購買プロセスとKPI

SmartHR

体制 マーケティングチームは、主に認知〜リード育成までを担当します。オンラインとオフライン、オウンドメディア、広告など施策領域で担当が分かれています。セールス機能は別のチーム(SDR)で担当しています。
重視しているKPI MRR、つまり売上を最重視しています。マーケティングチームについては、セールスチームに渡すリードの有料転換率を高めることが目標です。
タスク管理 タスク管理は各担当者の自主性に任せて、何をいつまでにやるのかだけ、目標を明確にしてもらっています。ただ、煩雑な展示会業務についてはBacklogで管理しています。
使っているツール 集計・分析はSalesforce上で行います。リード管理にMarketoを採用し、Salesforceと同期しています。

Wantedly

体制 マーケティングチームは5名程ですが、KPI別に担当を分けているわけではなく、3ヶ月毎に、それぞれに一番マッチするタスクを自律的に担当しているそうです。
重視しているKPI リード・トライアルからの有料転換率を重視していますが、担当者個人としては、認知にももっと力を入れたいと考えているそうです。
タスク管理 ルーチンワークが出てきたらインターンに担当してもらい、裁量とスキルが必要な業務に集中できるようにしているそうです。
使っているツール SalesforceとMarketo、Google Analyticsを使っています。

エンジニアとの共同作業について

マーケティングはウェブサイトの改修など、エンジニアを中心に様々なチームとの共同作業が発生します。そこで次に、それぞれの担当者のコラボレーションの進め方について伺いました。

ヌーラボ

やはり専属のエンジニアはおらず、サイト改修などは開発チームにお願いしているそうです。どうしても差し込みでの依頼になってしまうので、彼らが抱えている案件を気にしながら、要件定義をしっかり固めて依頼するとのことです。

Wantedly

ビジネスサイドのエンジニアがいますが、簡単な作業であれば、ご自身でプログラミングも含めて済ませてしまうそうです。どうしてもエンジニアリング上の課題解決にとって魅力的ではない依頼が多くなってしまうので、ビジネス的な成果や反応に関心がある人を採用するのが良いのではと仰っていました。

3名の方が共通して挙げられていたのが、エンジニアに感謝するということ。マーケティングに限らず、どんな業務でもチーム間の共同作業の基本となるのは、感謝の思いを伝えることかもしれません。

オフライン施策として取り組んでいること

SaaSでは、Webなどデジタルでのマーケティング施策は当然必要なものですが、ここ最近、イベントを中心としたオフラインの施策も見直されてきています。各社がオフライン施策として取り組んでいるものや、重視しているポイントはなんでしょうか。

ヌーラボ

今力を入れているのは、JBUG(Japan Backlog User Group)です。コミュニティ参加者が500人を超え、Backlogユーザー同士のコミュニケーションが盛り上がっていまする。当初は既存のユーザー向けの側面が強いと思っていましたが、既存ユーザーを通して新しいユーザーを紹介してくれる効果も実感しているそうです。

SmartHR

リード獲得の手段として、展示会を重視しています。既に何度か参加しているイベントは、投下コストに対するリード取得数やコンバージョン率でパフォーマンスを測ります。新しく参画するものについては、単純にリードをどのくらい取得できるかで検討しているそうです。

Wantedly

既存ユーザー向けと新規の顧客獲得で施策を分けています。既存向けは、ユーザー同士で繋がるコミュニティ的な側面を、新規向けは認知とコンバージョンを重視しています。

今課題に感じていること

最後に質疑応答の時間があったので、皆さんにB2B SaaSのマーケターとして、今課題に感じていることや、その解決のための取組みについて伺いました。

ヌーラボ

情報セキュリティガバナンスの強化、特にクッキーポリシーなどユーザー情報の取扱いが課題。サービスとしての信頼感を損なわないように、情シスや法務と協力しながら体制を整備していきたいそうです。

SmartHR

オフラインの数字とマーケ施策全体との関連付け。難しいけど必ずやらないといけないし、それができる人材の採用も課題だそうです。

Wantedly

様々なデータ(Marketo、Salesforce、基幹データ)の統合と管理、マーケターの採用。どれだけリソースを投入するかが課題だそうです。

もうやんカレー

そして皆様お待ちかねのもうやんカレータイムです。カレーとお酒でSaaSビジネスについて語る楽しい時間。皆さん良い顔されてますね。

印象的だったのは、オフラインイベントやコミュニティ、インサイドセールスの話が盛り上がっていたこと。デジタルや広告の施策は当然ながら、顧客とのダイレクトな接点の重要性と、その中でどう仕組み化可能なマーケティングを展開していくかが、SaaSマーケターにとって大きな課題となりつつあるのではないかと感じました。一旦現場からは身を引いていますが、BacklogをはじめSaaSビジネスに関わるものとして大変学びの多い一日でした。主催のヌーラボに感謝!

余談ですが、もうやんカレーを食べすぎて、翌日はお腹が痛くて動くのが辛かったです。美味しいからと言って食べ過ぎ注意。